photoosako
冬
ある思いがわき起こったことがきっかけで、私はまた古皮を脱いだ。
また少し力みやエゴがとれて本来の状態に戻っているとも感じるし、
これはただ年をとっているということかもしれない。
今まで味わったことのないような経験が、日常を静かに覆い尽くしはじめた。
静かな日常にある哀しみも喜びもただただ沸き起こっては消えていく。
そしてわたしはもともとのなんでもないわたしへとどんどんと戻っていく。
なんということだろう。
今まで見過ごしていたようななんでもないことが、
わたしの古皮をどんどんと剥いでいくのを手伝うのだ。
わたしは、静かな日常に自然に繰り返し起きている古い皮はぎの儀式にあっけにとられながら、
自分の素の状態に近づいている様をとてもとても懐かしく心地よく思いはじめた。